政府が主導する親子上場規制の状況
2019年3月7日に総理大臣官邸で開催された未来投資会議の参考資料において、「親子上場はガバナンスが効きにくく、子会社の少数株主が害される恐れがある」と指摘されました。政府は親子上場のコーポレートガバナンスを問題視しており、2020年2月には上場子会社のガバナンスの向上等に関する東証の上場規程が改正され、さらに、東証において、従属上場会社における少数株主保護の在り方等に関する研究会が設置されるなど規制強化の動きが進んでいます。以下は、弊社が親子上場規制を時系列でまとめたものであり、政府中心にルール整備が急ピッチで進められていることを示しています。

(出所:弊社作成)
このような規制厳格化を背景に親子上場の上場子会社数は減少しており、2019年暦年では15社減少しています。以下は2018年末までの上場子会社数の推移です。

トピック①:未来投資会議(2019/3/7開催)において紹介された投資家の意見
以下のような投資家の意見が紹介されています。
■少数株主の代表であるはずの社外取締役が取締役会に入っていて、何も投資家の話を聞
いていないとか、情報共有していないというのは、おかしいに決まっている。
■上場子会社の株主として親会社に対話を求めても、子会社は独立しているので子会社と
話してくれと断られる。結果として、上場子会社は経営者天国になっており、株価が割
安で放置されていたりする。
(出所:リンク先8頁)
トピック②:上場親会社の取締役の責務
弊社は、政府の方針の背景として、2018年6月22日に開催された、経済産業省のコーポ
レートガバナンスシステム研究会の事務局説明資料における、
「当時の法制審議会の議論において、親会社取締役には資産としての子会社株式を管理する義務があるという見解に賛同する見解が多数出され、親会社取締役の子会社監督の職務が存在することについては、ほぼ解釈上の整理がされた。」
との指摘があると考えます。
(出所:リンク先9頁)