蝶理と東レの親子上場の問題
蝶理は東レ株式会社(以下「東レ」といいます。)の子会社です。東レは、2019年9月末現在では、蝶理の議決権の51.8%を保有する親会社であり、蝶理とは親子上場の関係です。
東レの取締役には子会社である蝶理の監督し、東レが保有する資産である蝶理株式の価値を東レ株主のために高める責任があります。この親会社取締役の責任は、子会社に投資している機関投資家のスチュワードシップ責任と重なるものでもあります。
したがって、親会社取締役は、子会社株主の機関投資家とも積極的に対話を行うことにより、子会社監督の職務がより適切に果たせることになるはずです。
このように子会社(蝶理)のガバナンスに対する責任を親会社(東レ)が十分に自覚していないことによって、子会社の少数株主の声が経営に反映されないということは、正に政府が問題視している、親子上場の弊害と言えるでしょう。
また、機関投資家は、少数株主の利益を守るため、上場子会社に対して経営の独立性が確保される体制(例えば取締役総数に対する独立社外取締役の割合。)を求めています。しかし、蝶理の経営は独立性があるとは見られず、2019年6月の株主総会においては、そのような不透明な経営に対する責任者として蝶理の代表取締役である先濵社長に対して、反対票が集まりました。
トピック:蝶理の先濵社長に対する低い賛成比率