蝶理の問題② 株主との面談を拒否する独立社外取締役・
蝶理の“ガバナンス委員会”
親会社のガバナンスに期待できない蝶理の少数株主にとって、特に独立社外取締役による働きは重要です。しかし、弊社は、2015年以来、蝶理の独立社外取締役に対して面談を要請していますが拒否され続けています。 例えば、2019年3月の弊社の打診に対しては、下記の通り、面談を拒否する旨の回答を受領しました。
本来は“独立”しているはずの独立社外取締役が、“株主との面談を拒否する“という”取締役会の決定“に従っている状態です。自身の判断よりも会社の方針・取締役会の多数意見を優先する独立社外取締役が、少数株主の代弁者という独立社外取締役に期待される働きを果たすことができるのか強く疑問に思います。
また、2019年11月には、会社経由ではなく、社外取締役に直接面談の依頼をしましたが、今回も下記のように拒否されました。
そもそも、コーポレートガバナンス・コードの原則5は、“経営陣幹部・取締役(社外取締役を含む)は、株主との建設的な対話を行うべきである”と定めています。
また、コーポレートガバナンス・コードの4-7-(ⅳ)は、独立社外取締役の役割・責務として“経営陣・支配株主から独立した立場で、少数株主をはじめとするステークホルダーの意見を取締役会に適切に反映させること”と定めています。
少数株主との面談を拒否している独立社外取締役が、どうやって少数株主の意見を取締役会に適切に反映させることができるのか甚だ疑問です。
なお、蝶理は最近の2019年6月18日付けコーポレートガバナンスに関する報告書において、上記の原則4-7を全てコンプライしていると整理し、特段のコメントを記載していません。したがって、蝶理は本来エクスプレインすべき原則をコンプライするという、虚偽の記載をしている可能性があります。
東証一部において、任意の指名報酬委員会を設置している会社数は、約半分に上ります。

(出所:東京証券取引所ウェブサイトより弊社作成)
東証一部構成銘柄の過半が任意の委員会を設置しており、さらに上場子会社においては、設置割合が6割を上回っています。なお、蝶理は監査等委員会設置会社です。
(出所:QUICK Astra Manager、2019年12月30日収録データ)
2020年3月25日、蝶理は指名・報酬委員会の役割に加えて少数株主利益保護の観点から必要となる事項についても審議し、意見を決定する“ガバナンス委員会”を設置することを発表しました。
委員会の構成は独立社外取締役が過半となるとされています。しかしながら、前述の通り、少数株主との面談を拒否し続けている独立社外取締役が、果たして少数株主利益保護の観点から議論することができるのか憂慮されます。
経済産業省が2019年6月に策定した公正なM&Aの在り方に関する指針(以下「M&A指針」といいます。)において、上場子会社の独立社外取締役が特別委員会の委員に就任し、親子上場解消の条件について少数株主の立場から議論することが推奨されています。
蝶理の独立社外取締役に就任している森川氏は、大学を卒業された後、蝶理に一度入社しています。現在の実務においてM&Aの際に特別委員会を設置する場合は、独立社外取締役とされていた人物であっても、過去10年以上前に親会社の社員であったため、利益相反の懸念から委員に就任せず、取締役会の決議にも参加しないケースが見られます。
蝶理の独立社外取締役は2名しかいないため、仮に被買収される局面に接したときに、両名が委員にならなければ、特別委員会の過半数が独立社外取締役になりません。
蝶理の少数株主利益を守るためには、特に独立社外取締役の働きが重要です。そして、弊社は森川氏をはじめとした独立社外取締役に対し、蝶理の少数株主の代弁者としての役割を本当に果たすことができるのかということをお尋ねしたいのです。